「暗黒物資はヒッグス」謎の2粒子 正体は同じ!? (2010/01/05)
ノーベル賞学者、南部陽一郎博士の理論から存在が予測された粒子「ヒッグス」が、宇宙を満たす謎の物質「ダークマター(暗黒物質)」と同じものであるという新理論を、大阪大の細谷裕教授がまとめた。この“2粒子”は素粒子物理の最重要テーマで、世界中で発見が競われている。ダークマターは安定で壊れないが、ヒッグスは素粒子の基本法則「標準理論」ではすぐに壊れるとされ、新理論は従来の宇宙の成り立ちを説明する定説を覆すもの。証明されれば宇宙は5次元以上あることになり、人工ブラックホールの創出も可能になるかもしれない。
南部博士が1960年に提唱し、授賞理由になった「対称性の自発的破れ」を基にヒッグスが提唱されたが未発見。宇宙誕生直後にでき、他粒子はヒッグスに衝突して動きにくくなり質量を持つとされる。一方、宇宙は光を出さず安定なダークマターで満ちていると予想されている。
細谷教授は、宇宙が時間と3次元空間の4次元ではなく、5次元以上であると考え、様々な粒子が力を及ぼしあう理論を考えた。その結果「ヒッグスは崩壊せず、電荷を持たない安定した存在」となった。
欧州にある世界最大の加速器(LHC)では最大の課題としてヒッグスの検出実験が行われる。標準理論では「観測可能」だが、細谷理論では観測不能。新たな実験手法で検証が可能になるという。一方、ダークマターも09年末、発見の可能性が報告されたが、細谷理論と矛盾しないという。
細谷教授は09年秋、来日した南部博士に新理論を説明。南部博士は「今まで誰も気づかなかったヒッグス粒子に対する見方は十分あり得る」と評価したという。
小林富雄・東京大教授(素粒子実験)の話「美しく素晴らしいアイデア。数年で新理論を検証できる可能性もある」
(読売新聞)