歯周病、脂肪の幹細胞で治療…阪大教授、動物実験で組織再生に成功 (2010/03/17)
重い歯周病で欠損した歯の根の部分に、脂肪の幹細胞を移植し、歯周組織を再生することに、大阪大歯学研究科の村上伸也教授らが犬の実験で成功した。採取時の患者の負担が少なく、安全性の高い脂肪を使う新たな手法として注目される。3月18日に広島市で開かれる日本再生医療学会で発表する。
歯周病は、細菌が歯を支える歯周組織を溶かし、末期には歯が抜け落ちる感染症。軽い症状も含めると成人の約8割が感染しているとされる。
村上教授らは、重度の歯周病を起こしたビーグル犬の脂肪を10グラム余り採取。様々な細胞に変化する幹細胞を取り出し、歯周組織の欠損部の半分に移植した。
6週間後に顕微鏡で歯周組織を観察すると、移植した部分には歯槽骨やセメント質などが、欠損部の8割を埋める程度にまで再生していることを確認した。村上教授は「来年にも臨床研究を始めたい」としている。
(読売新聞)