皮膚細胞、軟骨に変化…阪大准教授らマウス実験で成功 (2010/03/19)
皮膚の細胞に、iPS細胞(新型万能細胞)へと導く2遺伝子を含む計3遺伝子を入れるだけで、軟骨のもとになる細胞を作り出すことに、大阪大の妻木範行・独立准教授(骨・軟骨形成制御学)らがマウスの実験で成功した。18日、広島市で始まった日本再生医療学会で発表した。皮膚細胞から直接、軟骨に変化させたのは初めてで、変形関節症の治療などへの応用が期待される。
研究グループは、様々な組織の細胞に変化するiPS細胞を作るのに、山中伸弥・京都大教授が用いた4遺伝子(山中4因子)のうち2種類に注目。軟骨のもとになる遺伝子とともに、マウスの皮膚細胞にウイルスを使って導入した。
2週間後、この皮膚細胞は軟骨のもとになる細胞と似た状態になり、マウスの皮下に移植すると、4週間後、直径約3ミリの円盤状の軟骨組織となった。
今回の技術が確立すれば、体の中で、狙い通りの細胞を作ることができるようになり、効率よく細胞を供給できる。妻木准教授は「腫瘍(しゅよう)のようなこぶができる細胞もあり、防ぐ方法を確かめたい」と話している。
(読売新聞)