ワクチン働く仕組み、阪大が解明 インフルエンザで (2010/04/01)
インフルエンザのワクチンが働く分子レベルの仕組みを大阪大などのグループがマウス実験で突き止め、3月31日付の米医学誌電子版に発表した。
日本で使われるワクチンは、インフルエンザへの感染歴がないと効果が低いことが判明。石井健招聘教授は「副作用が少なく有効性がもっと高い次世代ワクチンの開発が必要になるだろう」と話している。
グループは、インフルエンザウイルスを認識するセンサーを持つ免疫細胞の三つの受容体に着目。これらの受容体がないマウスにさまざまなワクチンを投与すると、「TLR7」というリボ核酸(RNA)の受容体がワクチンの効果に必須であることが分かった。
日本でワクチンに使われる「不活化スプリットワクチン」は、自然免疫の活性化がほとんど見られず、効果が低かった。感染歴がある人では免疫が再び活性化し、有効なことが人の血液の実験で判明したが、感染歴のないマウスにこのワクチンだけを投与しても感染を防げず死亡した。
一方、「不活化全粒子ワクチン」を投与すると、受容体の一つが活性化し、より高い効果を発揮。抗ウイルス作用を持つ物質をワクチンに加えることで、効果を増強する仕組みも分かった。
(共同通信)